学校教育

保健4年生 体の発育・発達 ①題材の捉え方

悩める子羊:はぁ。4年生の保健って性教育に関わるところだし、扱い方が難しいなぁ。。

波多野:あ、なんか心の声が口から出ちゃってるけど、どうしたの?

悩める子羊:わ、わたし独り言いってました??!

波多野:うん(笑)たしかに、この単元かなり悩むよね。体の発育や性に関する話って家族の間でもなかなか話題にするきっかけがつかめなかったり、性についての話を遠ざけがちって保護者の方からも相談されたことあるわ。すごくナイーブな分野だよね。

悩める子羊:そうでなんですよ。しかも、これ毎年、参観日で保護者の方の前で授業してるってきいて、さらにどうしようって。だって絶対こどもたち恥ずかしがりますよね。私一人が話し続けてシーンってなりそう。。

波多野:たしかに。恥ずかしいってなっちゃうと、そこに意識がいっちゃって、本当に学んでほしいことに意識が向かなくなっちゃうかもしれないから、入り方が大事だよね。ちょっと、学習指導要領にはどう書かれているかみてみようか。

ア 体の発育・発達について理解すること。
 (ア) 体は,年齢に伴って変化すること。また,体の発育・発達には,個人差があること。
 (イ) 体は,思春期になると次第に大人の体に近づき,体つきが変わったり,初経,精通などが起こったりすること。また,異性への関心が芽生えること。
 (ウ) 体をよりよく発育・発達させるには,適切な運動,食事,休養及び睡眠が必要であること。
イ 体がよりよく発育・発達するために,課題を見付け,その解決に向けて考え,それを表現すること。

これを子ども視点のワクワク言葉に変換すると

毎年身体測定で背が伸びた、とか体重増えたとか言ってたけど、これって体が育ってるってことか。え、大人になるまでになんかまだ変化するの?そうなんだ、なんかドキドキする。いつそのときが来るんだろ。私が大人になるか〜。ぜんぜん想像できないけど、元気でいたいのはたしかね。いまの自分の生活がどうかって?よく大人が「〜しなさい」って言うことかな。どうしてそうしなければいけないのか、なんて考えたことなかったかも。ちょっと自分で調べてみるか。

悩める子羊:なんか今回は、未知との遭遇に対する好奇心と心構え、今まで健康のためにいろいろ大人から言われていたことを「言われたからする」じゃなくて「根拠を知って、自分で判断して実践する」みたいな意味合いが込められているような感じですね。

波多野:そうだね。体の発達については、身長や体重の増加は経験しているけど、思春期に起きる見た目の変化と、体の中の変化、心の変化なんかはまだ未経験のことだから伝え方には本当に配慮を要したわ。個人差はあるけど、一般的な体の発育の特徴を教える必要があるということ。この個人と一般的のギャップはどうしても生じてしまうから、それはかなり慎重に繰り返し伝えたわ。

それから、「異性への関心」については性の多様性が知られるようになった今の時代ではかなり言葉を選ぶ必要があると思ったの。だから、それも一般的な知識としては伝えるけど、多様であることが当たり前で、誰かが自分にとって特別な存在になったり、大切にしたいと思うことは素晴らしいことであるということを伝えたわ。発育や性に関する一方的に知識を伝えるだけでは、誰かを意図せず否定したり、傷つけたり、不安をあおる可能性があることをいつも忘れないようにしていたわ。

悩める子羊:性の多様性というと、最近はLGBTという言葉もありますけど、「オールジェンダー」という言葉も使われるようになってきましたよね。マジョリティ、とかマイノリティとかで考えるんじゃなくて、「誰にとっても快適な生き方を目指そうよ」という視点で。

波多野:そう。だからわたしはこの授業を考えるときに、まず人が生まれてから死ぬまで「生」というものは本当にいろいろな出来事、環境やストーリーが混ざり合って成立しているものだとおもったの。だから、一人一人が違うことが前提で、そんな私たちが自分を肯定して生きていくための力を、この授業をきっかけに、日々の生活の中に散りばめていけたらと思ったの。

だから、授業の一番最初に「なんで人の体は成長すると思う?」ってあえてすごく大きなテーマとして子ども達に問いを投げかけてみたの。そこからスタートしたいと思って。「友達のどんな考えに対しても絶対に否定したりしないこと。ここではいろいろな考えが出ることが大切」と子ども達とは約束してからね。

悩める子羊:それで子ども達はなんて答えたんですか?

波多野:いろいろでたわ。例えば、

こどもA:強くなるため。弱いと死んでしまう。

こどもB:大きくなって夢を叶えるため。

こどもC:子どもを作るため。

こどもD:・・・。

いろいろな反応があって。それぞれについてあーだこーだ言い合って。ブレインストーミングみたいにそれぞれが多様な視点をもって「生」を考えていくことが大切だということを共有できたのはとても有意義だったわ。健康、自己実現、性、生命、神秘いろいろな視点が出てくることで、私たちが「生きている」ことについて、いろいろ知りたくなってきたという気持ちを少しでも抱いてもらうことができたらこの授業はある意味成功だと思っていました。

実際の授業の流れについては、その②で紹介するね!