学校教育

体育科 1年生 表現遊び②実践してみて

まっちゃん先生:あー楽しかった!!!子どもたちの表現力って予想以上のもので圧倒されちゃった。私たちも一緒に成長していかないと追い越されちゃう!!!授業をしてみて気づいたことをまとめたよ!

考察(成果と課題)

(1)運動のおもしろさを体感し続けるための工夫

① 運動のおもしろさの捉え方

表現遊びのおもしろさを『身近な題材の特徴を捉えて,そのものになりきって即興的に踊ることがおもしろい運動である』を捉え実践した。「そっくりな〇〇」を求める授業ではなく自由な発想の中から児童が自分らしく「なりきる」授業にすることを特に大切にした。風船や新聞紙,じゃんけん,動物などの身近な題材は,子ども達にとって特徴を捉えやすく,教師の指示や教師が操作する実物に合わせて自然と体を動かすことができた。人と違ってよいこと,違いがあるからおもしろいこと,思うままに自由に表現すればよいことを価値づけていくことで,「風船になってピューンと飛んでいったのが楽しかったよ。」「いろいろなグーがあっておもしろい。」などと,踊り方を様々に工夫することができることにおもしろさを感じる児童が多くいた。教師の受容的な態度や一緒になって全力で楽しむ姿を見せることで,子ども達は授業を行うたびに心身を解放させていった。児童の動きから何をしようとしているのかを教師が読み取り,感動したり紹介したりする中で,自分から広げて主体的に表現遊びをしている児童の姿も見られた。表現したことを認められる雰囲気の中で,『自分の思いや考えを全身で表現するおもしろさ』を味わうことができていたのではないかと思う。

② 単元構想の工夫

運動のおもしろさを捉えるために,単元前半にいろいろな表現遊び(リズムダンス・ミラーごっこ・いろいろじゃんけんなど)を行い,単元後半に動物を表現する活動を行うという単元構成で授業を進めた。前半のリズムダンスやミラーごっこなどの活動の中には,自分の動きだけでなく,友達の動きを見てまねをしたり体が触れ合ったりする場面があり,活動していく中で心と体が自然にほぐれ,全身を使って自由に表現することを楽しむ姿が見られた。友達とペアやグループになって一緒に活動することで安心感が生まれ,友達の動きに触発されて,体を自由に動かすことを存分に楽しむことができたと考える。2時間を使ってしっかりと表現遊びを行うことで,安心して思い切り自由に体を動かす楽しさを味わうことができていたと感じている。

後半の動物になりきる活動では,動物の特徴を捉え広げる時間(3・4時)と捉えた特徴をもとに場や状況に合わせて変化させる時間(5・6時)に分け,授業を進めた。

3・4時では,体の一部分で表現するところから始め,映像を見たりしながら段階を追って表現することで,想像することや表現することが苦手な児童も大きな抵抗なく動物になりきる姿が見られた。しかし,動物の特徴を捉える時間は,活動が単調になり,児童の思考が途切れたり集中力が続かなくなったりする場面もあった教師がおさえたい動きを誘導するような教師主導の授業になったため,児童が求める運動のおもしろさややりたいことから離れてしまっていたのだろう。表現に自由はあっても状況設定がある程度限定されるため,広がりも少なかったように感じた。

5・6時では児童の表現に合わせて状況が変化していくため,自由度が増し,子どもたちは一気に解放されていった。児童が状況に合わせて思いのままに表現していく姿が5・6時の方が多く,即興的にどんどん変化させ続けていった。特徴を捉えることを中心とした時間は必要であったのか,また,より楽しく活動できるための授業の流し方や手立てについては今後も検討していきたい。

(2)学びを広げていくための工夫

① 試行錯誤を促す「問い」の工夫

単元を通して,大きく2つの問いを設定した。単元前半では,表現遊びの経験が少ないことや児童の実態を踏まえた上で,『いろいろなものになって遊ぼう。』という問いでスタートした。
自由度が高くなるような問いを設定することで,思い切り体を動かして自由に表現する楽しさを感じることができたように感じる。
単元後半には,『動物になってどんなことができるかな。』と設定した。「どんなことができる?」という問いかけ「ライオンになって狩りがしたい。」「つばめになって空を飛びたい。」など様々な答え(めあて)が返ってきた様子から,問いは児童によく浸透していたように感じた。同じ場や状況でも,一人ひとりが自分の思いをもって伸び伸びと表現活動をすることができた。例えば,狩りをする場面では,勢いよく獲物に飛びかかる児童がいたり,慎重に獲物に近づこうとする児童がいたりと多様な表現の仕方があり,「おなかがすいてるから絶対につかまえたいよね」「気づかれないように近づこうとしてるんだね」などその思いと表現を共有し合うことで,表現遊びのおもしろさを味わうことができたのではないかと思う。

② 「追究の手がかり」の工夫

動物の特徴を捉えるために,動物の動作を「すすむ」「ねらう・探る」「食べる・飲む」「休む」を手掛かりにしたことは,映像を探したり特徴に迫っていったり(試行錯誤する)しやすかった。動作の多様ではなく,1つの動作の中に多様があると深めていくことで共有もしやすかった。体の動きをオノマトペで表現するのは,子ども達も使いやすいし,分かりやすかった。3・4時で動物の動きや表現を「キョロキョロ」「ドシン」「ガバっ」といったオノマトペで価値づけしていったため,オノマトペをよく使って声掛けをしたり,子ども達もオノマトペをつかって自分がしたことを友達に広めたりしていた。しかし、5・6時では直接的な動きにつながる声掛けを控えるようにしたため,オノマトペによる声掛けも減ってしまった。多様に広がり,変化する児童の表現に合う適切な言葉が見つからず,難しさを感じた。実際授業で多く使ったのは,「慎重な」「楽しそうな」「堂々とした」など様子を表す言葉だった。オノマトペが児童の思考や活動に適切ではなく,他の手がかりを探っていくことも必要なのかも知れないと感じた。

③ 毎時間運動を子どもに合わせる工夫

動物を題材にした単元後半では,6種類の動物を取り上げた。まず,2時間で特徴を捉えることを中心に授業を進めたのだが,1時間に3種類ずつ時間内で動物の特徴を捉えることが時間的に難しかった。特に,3種類の組み合わせをよく考えなげればしっかりと捉えることができなかったため,先行したクラスの児童の様子から特徴を捉えやすい動物(ライオン,ペンギン,つばめ,ぞう)と捉えにくい動物(へび,ねずみ)に分け,1時間に取り上げる動物の組み合わせをよく検討した。児童の実態によっては,1時間に2種類程度にした方がよりしっかりと特徴を捉え広げることができるのかもしれない。
カラーコーンや段ボール箱を利用して草原や水場,建物などの場を設定し,できるだけ広々とした空間で表現遊びができるようにした。情景のイメージを膨らませる支援としては,とても効果的であった。しかし,夢中になりすぎてカラーコーン自体を草原や水場,獲物だと思い,飛びつく児童もいた。その姿は,ダイナミックで迫力があったが怪我につながる危険性もあったため,カラーコーンの数を減らしたり,カラーコーンには触れてはいけないという約束を再度徹底したりした。安全面から考えてどのようなものをどのくらい置いたらよいのか,児童の実態とも合わせて考えていく必要がある。

共有の仕方については,見せることよりも自分が表現することに集中させたかったため,見せ合いという時間はあえて設定しなかった。そこで,基本的には活動の流れの中で動きのよい児童を取り上げ,何度も共有した。場や状況によって変化した児童がいた時には,立ち止まって1つの動きについて共有することもした。友達のよりよい表現に目を向けることで,児童は自分の動きを試行錯誤したり,新たなめあてをもったりすることができた。始めはインタビューという形で児童にしたことを発表させていたが,言葉での表現力が乏しかったのとフィードバックすることが難しかったため,教師が見取ったことを「見つからないように身をかがめていたね。」「ガバッと飛びついて捕まえたかったんだね。」などと伝えるようにした教師の見取りが児童の思いと合ったときには,クラスに一体感が生まれ,表現したことが伝わった喜びで目を輝かせる児童もいた。

児童は,夢中になって動物になりきっているため,表現している時間から共有する時間への切り替えがとても難しかった。切り替えがきちんとできないと,思考や集中力が途切れてしまったり,何をしているのかよく分からなくなってしまったりしてしまう。そのため,メリハリのある切り替えをする必要があると強く感じた。そこで,その切り替えのタイミングを知らせる手段としてタンバリンを使うようにした。教師の声や手拍子より音が児童に届くようになり,メリハリのある切り替えができるようになった。切り替えができることで,集中力が高まり,より質の高い表現が生まれる場面が多くなった

④ 協働的な学習になるための工夫

即興的に踊るおもしろさを児童に感じさせたかったため,友達と話し合う時間はあえて取らないようにした。しかし,単元前半に行った様々な表現遊びの中で,ペアで表現したり,3~5人のグループで表現したりする活動を取り入れたことで,子ども達は一人だけでなく,友達と一緒に表現できることを経験した。単元後半に入ると,ペアになることや集団になることを指示することはなかったが,教師が設定した状況によっては,友達と一緒に表現
をしたり,わずかな時間に友達と話し合ったりする児童の姿が見られた。ただし,十分話し合う時間ではなかったため,話し合いの内容は役割の設定程度でとどまり,ストーリーを話し合うことはできなかったように思われる。しかし,表現活動が始まると,互いの動きをよく見て,その動きに合わせて一場面を表現していた。また,そのグループに関わりのなかった児童が,様子を見て関わりに行く場面もあった。その様子は動物の世界がたくさん点在するのではではなく,1つの大きな動物の世界の中で,児童がそれぞれに自分が感じたことを思い切り表現をしているようであった

見せ合うという時間はあえて取らず,共有時間の中で友達の表現に目を向けさせるようにした。その際,「何をしているのだろうか。」「もっと○○するためにはどうしたらよいか。」などと問いかけ,試行錯誤を促した。児童は,友達の表現をきっかけにして,友達の思いや考えを探ったり,もっと動物に見せたり状況にあった表現にするためには自分ならどう表現するかを考え,気付いたことなどを言葉や動きで伝え合うことができた。

(3)その他

① 単元で育てたい力

この単元を通して育てたい力を以下のように考えた。
・ 自分の思いや考えを体を使って伸び伸びと表現する力
・ 自分や友達の思いや考えを受け入れる力
・ 友達の思いや考えを感じる力と友達に合わせて動く力

低学年でこの力を育てることができれば,中学年でのメリハリのあるひと流れの表現や高学年でのひとまとまりの表現に進んで取り組むことができるのではないかと考える。即興的な表現遊びをする中で,児童は3つの力をどんどん伸ばしていった。個々に表現をするだけでなく,自然に友達とかかわったり役割が生まれたりしたことは大きな成果であった。また,即興的に表現するという方法をとったことは,児童の感じる力を伸ばすのにとても効果的であった。
友達の思いを感じ,それに合わせて動くことができた児童にしっかりと話し合う時間を与えたら,もっと体の動きに意識を向けて,もっと変化させながら表現をしていくことができるのではないかと考える。

② 教師自身がつけたい力

今回の児童の思考に合わせて状況を変化させる授業スタイルでは,自由度が増すため,児童は心と体を一気に解放して表現していった。そして,表現を即興的に変化させ続けていった。
そのため,共有でどの児童を取り上げるか,どの場面をとりあげるか,何を深めていくかなどの見取りが難しくなった。児童の成長に伴って,教師の見取る力や広げる力,臨機応変に対応する力,専門性などを高めていく必要がある。また,教師が「間違いを指摘したい」「正したい」「正解に導きたい」「やり方を変えたい」などの思いをなくし児童に寄り添い,すべて
を受け入れ,共感したり認めたりする受容力を向上させることも,この単元ではとても重要であると考える。教師と児童が一体感を得たとき,最高の表現が生まれるということを体験することができたことは大きな成果であった。

まっちゃん先生:表現することが楽しい!!を一番大切にしたいから、これからもこのテーマに取り組んんでいきたいと思うよ!!