学校教育

体育科2年生 表現遊び②実践してみて

まっちゃん先生:あ〜楽しかった!!!実践の様子をたくさんの先生たちにも見てもらって意見を交換しました。それをみなさんにも共有したいと思います。課題はあるけど、楽しいことを忘れたくないな!

考察

(1) 単元構想の工夫

表現遊びのおもしろさを「自分の思いや考えを全身で表現したり,踊り方を工夫しながら広げたりすること」と捉え実践した。運動のおもしろさを捉えるために,何をするにもイメージを持たせて遊ばせること,なりたいものややりたいことを児童が自由に選んで表現できるようにすることを大切にして授業を行った。また,45分間気持ちを切らすことなく世界に浸って表現遊びを楽しむことができるよう,支援を行った。自分の世界の中で表現遊びをしていた昨年度の姿を受けて,今年度は即興的な身体表現能力だけでなく,コミュニケーション能力の育成も視野にいれて,他者を意識して遊ぶ
ことができるよう単元を組み立てた。

単元の前半

心と体をほぐすためにいろいろな表現遊びを取り入れた。表現には正解や失敗はないこと,人と違ってよいこと,違いがあるからおもしろいこと,世界に浸って自由に表現したらよいことを価値づけていくことで,児童は伸び伸びと自分を表現することができた。「だるまさんの一日」では,1つの題材でもそこに関わる人や物はたくさんあり,表現も多様であることに気付くことができた。そして,空間・リズム・体・相手との関係に変化をもたせることができるような題材を与えたり,声掛けをしたりしたことで,多様な動きを経験することができた。「ジェスチャー伝言ゲーム」では,自分がしていることを相手に伝えるためにはどうすればよいかを試行錯誤することができた。児童は,「1つ1つの動きを大きくしたらよい。」「体全体を使うと良い。」など,自分なりの○○を見つけることができていた。同じ題材でもやる人によって表現が変わることや,それを見る側の解釈の仕方も様々であることにおもしろさを感じている児童が多かった。受容的で共感的なかかわりを大切にしながら教師も一緒になって楽しむことで,自分の思いや考えを全身で表現したり,思い切り踊ったりすることができていた。

単元の後半

どうすれば,遊園地の世界でもっと楽しく遊ぶことができるかな。」という問いを設定し,遊園地の世界の中で表現する活動を行った。めあてをもちやすくするために,各時間小テーマも設定した。小テーマは,単元が進んでいくにつれて多様さが広がるように設定した。活動が単調になると,児童の
思考が途切れたり,集中力が続かなくなったりした昨年度の反省から,遊園地に入ってから帰るまでという継続した時間の中で遊ぶことができるように1時間の授業を組み立てて実践した。3・4時では,「乗り物」や「パレード」を題材の中心にし,そこに関わる人や物などを表現することができる
ようにした。遊園地に行ったり,パレードを見たりしたことがない児童が数名おり,イメージをもたせたり気持ちに迫ったりすることが難しかった(特にジェットコースター)。実際の写真や映像を見せたり,乗ったことのある児童から表現させたりするなどの手立てをしたことで多少改善できたよう
に感じるが,特徴に迫る方法やイメージの持たせ方については今後も検討していきたい。また,教師がおさえたい動きを誘導しすぎてしまうと教師主導の授業になり,児童が求める運動のおもしろさから離れてしまうため,教師がさせたいことと児童のやりたいことのバランスを取ることも難しく感じ
られた。しかし,継続した時間の流れの中で活動したことは,児童の思考や集中力を持続させるのにとても有効であった。5・6時では,なりたいものややりたいことの自由度が増すため,児童はより伸び伸びと表現していった。5時(本時)でねらったことは,「題材や状況,友達に合わせて踊り方
を工夫すること」であった。児童は,状況や友達に合わせて踊りを次々に変化させていった。即興的にイメージを広げて多様に表現できたこと,友達に合わせて表現できたことは1・2時の成果であると感じた。しかし,個によっては差があったため,「乗り物」や「パレード」の特徴を思い出したり,どう変わったのかをしっかりと共有したりする時間をとってもよかったの
ではないかと反省が残った。「何を」を広げるための支援はたくさんあったが,「どのように」身体の動きを広げるかついては支援が足りないのではないかという参観者からの指摘もあったため,その両方を意識して支援していくことが今後の課題となった。6時では,今まで表現してきたことを楽し
んだり,まだやったことのないものや様子を選んで楽しんだりする児童の姿が見られた。自分がしていることに友達が合わせてくれたり,友達に合わせにいったりすることにおもしろさを感じる児童が多くなり,観ている人を意識して表現を試行錯誤する児童の姿もよく見られたことは,大きな成果で
あった。単元終了後には,全身を使って自分の思いや考えを思い切り表現することができたことへの喜びや自信につながる発言を多く聞くことができた。また,世界に浸って表現することの楽しさや気持ちよさを感じている児童も多くいた。
全員の児童が集中力を切らすことなく,大勢の参観者の中で自分を表現できたこと,表現遊びで身に付いた力(身体表現能力,コミュニケーション能力,想像力)が日ごろの学校生活の中でも役立っていることなどから,成果の多い実践であったと感じている。実践を重ね,よりよい支援の仕方を探
りながら,さらに良い授業を作ることができるようにしていきたい。

(2)「めあてを」をもち,運動のおもしろさを広げるための支援の工夫

① 「もの」とのかかわりから

世界観や題材に合わせて背景音楽を変化させたり,効果音を流したりすることは,多様な表現を引き出す上でとても効果的であった。背景音楽の種類を最低限にしたり,背景音楽と効果音をつなげて一度で流れるようにしたりしたことで,一人でも授業を行うことができた。

しかし,乗り物によって背景音楽を変えたり,パレードの内容によって背景音楽を変えたりすれば,もっとイメージをもって表現することができていたのではないかという反省が残った。

状況を変化させたり,背景音楽を変えたりすることで,空間・リズム・体・相手との関係に変化をつけて表現することができるようにした。加えて,状況や様子を表す声掛けをすることで,4つの関係に変化をつけて表現する児童の姿が見られた。4つの関係をくずすことが学びの目的になることを避けたかったために,共有の際にそれらを目に見える形で掲示したり,価値づけたりすることはしなかった。そのことを協議会でも指摘されたが,課題に迫るための手掛かりや共有の仕方・内容については,検討する必要があると感じた。

② 「仲間」とのかかわり

単元の初めから,ペアやグループになる指示はしなくても,友達と一緒に活動しようとする児童が多かった。単元の前半におこなったいろいろな表現遊びの中で,自分の思いや考えを伝えたり,友達の思いや考えを受け入れたりしながら表現遊びをしてきていたので,互いの動きをよく見てその動きに合わせて表現している児童が多くいた。即席のペアやグループも固定化することがなく,広く友達と関わり合いながら活動することができていた。その中で,自分の思いや考えが伝わった喜びや,友達に合わせて変化させながら表現するおもしろさを感じているようだった。

恥ずかしさや緊張感を感じて,伸び伸びと表現することができなくことをさけたかったために,授業の中では,見せ合うという時間は取らなかったしかし,友達の表現にも目を向けてほしかったので,参加型見せ合いを取り入れた。例えば,乗り物に乗っている客と乗り場で待っている客,パレードをしているキャストとパレードを見ている観客である。そうすることで、児童は遊園地の風景の中にいる人になって,自然体の表現を見合うことができた。参加型見せ合いを繰り返し行うことで,児童は無理なく「見られる」ことを意識して表現を試行錯誤することができた。

③ 「自己」とのかかわりから

受容的な雰囲気を大切にしたことで,児童は自分の思いや考えを全身を使って即興的の表現する力を伸ばしていった。即興的に表現する方法をとったことで,児童の感じる力も伸び,題材や状況,友達に合わせて表現を工夫することができていた。しかし,「何を」を広げることはできていても、「どのように」身体の動きを広げることができていたのかについては分かりにくかったという参観者からの指摘もあった。教師の声掛け仕方や内容について課題が残った。

(3)授業分科会での多角的な意見を受けて

① 児童のめあての把握について

即興的に踊る表現遊びの授業では,児童一人ひとりのめあて(やってみたいこと)が題材や状況,背景音楽が変わることによって,目まぐるしく変化していく。即興的な身体表現能力や言語を必要としない身体によるコミュニケーション能力を高めるためにも,考える時間や事前に思いや考えを伝え合ったりする時間は取らないようにした。そのため,新しいめあてをもつことと踊ることがほぼ同時に起こっていることが多く,事前にめあてを完全に把握することは難しい。そこで,児童が新しいめあてを持てているかどうかを,踊る直前の児童のつぶやきや踊っている様子から見取っていった。めあてをもてていない児童は,すぐに踊り出すことや踊りを変化させることができない場合が多い。そのような児童には,想いを聞いた上で教師が一緒に踊ったり,友達と一緒に踊ったりする状況を設定した。それを繰り返し行うことで,新しいめあてをもって即興的に踊ることができるようになっていった。めあての内容についても,踊る様子から見取っていった。しかし,それが身体表現だけでは見取ることができない場合もあるため,共有の場面で問うようにした。低学年は,言語による表現力ので,言語化することに苦手意識をもつ児童もいる。踊っている様子からめあてを見取り共感することは,児童に安心感を与え,意欲的に取り組むことができていたのではないかと思う。

② 児童の動きとその変容について

本時でねらった児童の姿は,「題材や状況,友達に合わせて踊り方を工夫している姿」であった。
児童は,状況や友達に合わせて踊りを次々に変化させることができていた。児童は,遊園地という世界の中のあらゆる人や物などを表現していた。例えば,乗り物(ジェットコースター,コーヒーカップ,コインで動く乗り物,待つ人,見る人,係員),写真撮影(撮る人,撮られる人),フードコー
ト(飲食している人,売店の店員,ベンチやテーブル),遊園地のキャラクターやオブジェなどである。みんなで1つの題材を表現していたわけではないので,「どのような動きができていたらよかったのか」についての答えは多様にある状況が変化したり背景音楽が変化したりしたときでも,世界
に浸って児童なりに表現することができていたらおおむね満足と評価する。「児童はどう変わったのか」についても,児童の姿からその変容を説明することができる。例えば,乗り物で遊んでいたが,パレードの登場という状況変でパレードを見る観客になる。フードコートで食事をしていたが,キャ
ラクターを見つけると食事を止めて,呼び寄せるためにアピールをする。乗り物中心の風景が音楽とともにパレード中心の風景に変わるなどである。パレードを見る観客の様子についても,1回目にパレードが来たときと3回目に来たときとでは変化があった。1回目にはただ座って見ていたり,座っ
て手を振っていたりする児童が多かったが,写真を撮る,一緒になって踊る,乗り物に乗ったままパレードに目を向けるなど,観客の表現にも工夫が見られた。動きの変容について分かりにくかったという指摘があったことから,ねらう児童の姿や「動き」の捉え方に違いがあるのではないかと感じた。

また,「ベンチやテーブルなど動かないものになるのも表現していると捉えてよいのか」という指摘があった。静止していても,特徴を捉えて体の使い方を工夫してそのものを表しているならば,それは表現であると捉えている。先でも述べたように,今回の授業は,45分間継続した時間の流れの
中で表現遊びをしている。ある一場面では動かないベンチになっていた。次のときには,乗り物に乗っていたり,カメラマンになって写真を撮っていたり,パレードを盛り上げる観客になっていた。動かないベンチもその児童にとっては,多様な表現の中の1つなのである。それを表現ではないと否定
することはできません。

みなさんは、子どもたちが表現することを楽しむにはどうすればよいと考えますか?ぜひお聞かせください!